「積翠園」は、約10,000㎡の敷地に3,000㎡の池が広がる、池泉回遊式庭園です。 平安時代末期に、平重盛の別邸「小松殿」の園地として作庭されたものと云われており、専門家によって要所に往時の意匠も確認され、貴重な庭園遺構であることが判明しています。池に配された大小2つの島と数々の石組から、不老不死を希求した蓬萊思想に基づいて作庭されていることも明らかとなっています。
伝統とモダンが融合するホテル館内からひとたび「積翠園」へと足を踏み出せば、自然との共生によって磨かれてきた日本人の高い美意識が結集された世界が広がります。庭園では、舟遊びをはじめ、花見、月見、雪見のほか、茶会や宴などが行われていたことが伝えられています。深い歴史と文化に思いをはせる時空を超えた旅、フォーシーズンズホテル京都ならではの体験をどうぞごゆっくりとお楽しみください。
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積翠園の特徴・様式

Trees, Shakusuien garden around pond under Four Seasons Hotel Kyoto building

面積約10,000㎡の大池庭は、東から西にかけて細長く、東端の向こうには、かすかに東山連峰を望むこともできます。池は、東寄りの位置に設けられた石橋を境に、大小 2つに分けられ、東側の小池は一段高く造られています。南東角には、往時の滝の石組の一部も見られます。西の大池には、東部に大島が1島、中央部に小島が 1島、それぞれ配されています。昭和期の作庭家・日本庭園史の研究家である重森三玲氏は、大島の配置が山畔に接していること、小島が池中にあること、そして前述の滝の石組が山畔に組まれていることに、平安時代の庭園の特徴を見いだしていると伝えています。さらには、大島の正面にあたる対岸がやや出っ張っているのは、ここに平安時代の寝殿建築を設けるためだったのではないかと考察しています。

歴史

多くの寺社仏閣が立ち並ぶ東山の地は、平安時代に圧倒的な権力を手にし、栄華を極めた平家や安土・桃山時代の豊臣秀吉のゆかりの地として知られています。そのなかで当ホテルの「積翠園」は、平安時代末期の武将・平重盛(1138 ~1179年)の別邸「小松殿」の園地と伝えられており、その理由については、この場所が「平家物語」の記述と合致することや、近年の調査により庭園の意匠に平安末期の特徴が確認されたことなどが挙げられています。さらに、江戸時代に入るとこの地は元和元年(1615)に隣地にあった妙法院の所有となり、「積翠亭」や「積翠軒」などと呼ばれていたことが尭恕法親王(ぎょうじょほっしんのう)(1640~1695年)の日記から明らかになりました*。その後「積翠園」は、江戸時代(元禄期)に改修されたものの、現存する平安時代末期の庭園は数少なく、貴重な文化遺産でもあります。

みどころ

  • 石橋とガラス橋
  • お地蔵様と石灯籠
  • 積翠園に住む生き物達
大島と小島
大島の近くには現在、5 つの「夜泊石(よどまりいし/やはくせき)」が一列に配置されています。この 5つの石は、水上では1 石ずつのように見えますが、水底では 2つの石が人字形に組まれており、平安時代初期からの石組手法のひとつとされています。また、小島の近くにも複 数の「岩島(がんとう)」と呼ばれる石組 だけ でできた島が見られます。これは小島の土砂が洗い流されてできたものであり、本来は島の護岸石組であるとされています。作庭家・重森三玲氏はこうした点にも、古い作庭であることの痕跡を見て取っています。
夜泊石
大島近くに一列に並ぶ 5 つの石は夜泊石(よどまりいし/やはくせき)と呼ばれ、蓬莱島へ仏薬財宝を求め長い旅路を経た後、夜の海に停泊している舟の姿を表しています。にぎわいや繁栄の象徴であり、縁起の良いこの庭園様式は、京都ではほかに「西芳寺(苔寺)」、「鹿苑寺(金閣寺)」、「大覚寺」の庭園でも見られます。
石橋とガラス橋
池を大小 2つに分ける石橋は以前からこの庭にあったもので、その貴重な庭園遺構を後世に伝えるために、極力手を加えることなく石橋に強化ガラスの橋を架けました。古くから伝わる石橋を、ガラス越しに見ることができます。
当園内の滝は荒廃した石組みと既存の景石を再利用し、昭和期の作庭家・重森三玲氏の実測図とその著述をもとに再現されました。池への地下水の供給量を見直し、供給先を滝口に移設するなど水系システムをリニューアルしたことで、水質が改善され美しい水景が再生されました。
お地蔵様と石灯籠
当ホテルに隣接する妙法院によると、お地蔵様は江戸時代(1603~1868年)の間に設立され、大島にある石灯籠は昭和時代より園内にあるといわれています。
積翠園に住む生き物達
鯉、亀、トンボ、鴨、ザリガニ、サギなどの生きもの達が「積翠園」に生息しています。

~ 数寄屋で体感する日本の伝統文化 ~